Mac初心者向けMacの無難な設定いろいろ
この記事はEEICアドベントカレンダー2016その2の24日目の記事です。東京大学工学部電気系学科の特に学部二年生の更に限定することのMac初心者である友人に向けて書きました。もしかしたら工科系大学生のMac初心者の方にもお役に立てるかもしれません。
動機
最近、新しくMacを購入した友人からMacの設定に関する相談を受けることが多かったので、わたしがおすすめする設定やアプリケーションについてまとめました。システム環境設定・アプリケーション・その他(Emacs Keybindや便利なコマンド等)の順番で紹介していきます。
前提
- macOS Sierra 10.12.3 Beta
- 今自分が使っているMacのバージョンがこれでした
- たぶんSierraならここで書いたことはそのまま通用します
- MacBook (Early 2015)
- これ以外のMacとはハードウェア関係の設定項目が異なるかもしれません
- ここで説明するのと違う設定を好まれる方もいるでしょう
- (多様性は尊重するよというアピール)
システム環境設定
デスクトップの左上のマークを押すと出てくるメニューの中からシステム環境設定を選ぶとシステム全般のことについて設定できる画面が出てきます。「一般」や「ディスプレイ」など各項目から詳細な設定をすることができます。左上から1列ずつ見ていきます。特にコメントしない項目は飛ばしていきます。
一般
- スクロールバーの表示: スクロール時に表示
- 使用可能な場合はLCDで滑らかな文字を使用: ✓
Dock
- Dockを自動的に隠す/表示: ✓
- ノートPCはただでさえ画面が小さいので使ってないものは隠していきましょう
- 慣れてくるとアプリの起動はCtrl+spaceで使用できるSpotlight検索を利用したほうが早くできるようになります
- 初期設定はCtrl+spaceではなかったかも
Mission Control
四本指でトラックパッドを上にスワイプするとできる起動中の画面を一覧表示してくれるやつです。特に設定することはありませんが、この操作自体は便利なので覚えておくと良いです。
セキュリティとプライバシー
ダウンロードしたアプリケーションが「開発元が未確認」云々の理由で開けなかったらここから実行許可を与えることになります。
Spotlight
「フォント」等が検索できても仕方がないのでそれを含めいらないものは✓を外しておきましょう。Spotlightは常に(?)検索用インデックスを作成しているので検索対象を減らすことでMacにかかる計算負荷を軽減することができます。ちなみに「イメージ」の✓を外しておくとえっちな画像がSpotlight検索に引っかかるのを予防できます。
ディスプレイ
デフォルトは文字が大きすぎて間抜けな感じがするので解像度は最大にしておきます。
キーボード
- キーボード
- キーのリピート: 最大速度
- リピート入力認識までの時間: 短い
- 左下の修飾キー
- Caps Lockは使わないのでCommandあたりに変更しておきましょう
- ちなみに私は本来のCaps LockをCommandとして使用して本来のCommandはEscとして使用しています(どちらも使用頻度の割に押しにくい位置にあるため)
- ショートカット
- Spotlightの項でSpotlight検索を表示: ✓
- こうすることでCtrl+spaceでSpotlight検索を表示できるようになります。
- Spotlightの項でSpotlight検索を表示: ✓
- 入力ソース
- ことえりでもいいですが私はGoogle日本語入力を使っています。
トラックパッド
全部✓つけましょう。わたしはトラックパッドアクションこそMacを使う醍醐味だと思っています。
iCloud
iPhoneで後ろめたい写真を取っている人以外は基本的に全部✓付けるのが良いと思います。どれも必須だと思います。ちなみにiCloudは月額130円課金すればタダで50GBまでストレージを拡張できます。手頃な価格だと思います。
App Store
「macOSアップデートをインストール」の✓だけは外しておきましょう。これが✓してあるとPCを開いた途端にOSのアップデートが始まってしまうことがあります。
アクセシビリティ
「マウスとトラックパッド」→「トラックパッドオプション」→「ドラッグを有効にする」を「3本指のドラッグ」にして✓を有効にします。こうすることでドラッグを1本指タップではなく、3本指のスワイプで行うことができるようになります。1本指でかつタップしないとドラッグができないとなるとある程度の筋力と器用さが必要になっていまいとても不便です。昔のMacでは簡単にこの設定ができたはずなのですが、いまではこのようにやっかいな場所で設定をしなければなりません。 3本指で操作できる方が細かい操作が簡単にできて便利です。 ぜひ活用してみて下さい。
追記: 感圧トラックパッドだけの話かもしれません。確認していないのでよくわからないです。
[https://support.apple.com/ja-jp/HT204609:title]
アプリケーション
オススメMacアプリを列挙していきます。わたしは機能の豊富さよりデザインやUIを重要視しているのでその点に留意してください。 重要なものから順番に 紹介していきます。
iTerm
ターミナルは1日で最も使用する時間が長いアプリケーションです。わたしはiTermというターミナルを愛用しています。ここでは下の画像のような感じのちょっとカッコいい画面の作り方をパソコン初心者の方に向けて紹介します。作業を列挙するだけになってしまい不親切ですが、詳細は説明しだすとキリがないので割愛させていただきました。
- iTermをインストールする
- ターミナルからパッケージ管理マネージャーhomebrewをインストールする
- ターミナルから
brew install zsh
を実行しzshというシェルをインストールする - iTermの設定のPreferences→Profiles→CommandでCommandのラジオボックスを選択肢zshと書く
- Profilesではターミナルの透過度や文字サイズも変更できます。適宜自分の好きなように変更しておきましょう。
- ホームディレクトリに
.zshrc
というファイルを置き、以下の内容を書き込む
# Settings for prompt PROMPT='%F{blue}%n@%m%f $ ' RPROMPT='[%.]' autoload -Uz vcs_info zstyle ':vcs_info:*' formats '(%b)' zstyle ':vcs_info:*' actionformats '(%b|%a)' precmd () { psvar=() LANG=en_US.UTF-8 vcs_info [[ -n "$vcs_info_msg_0_" ]] && psvar[1]="$vcs_info_msg_0_" } RPROMPT="%1(v|%F{green}%1v%f-|)%F{blue}[%.]%f" # Settings for complimentation autoload -U compinit compinit zstyle ':completion:*' matcher-list 'm:{a-z}={A-Z}' zstyle ':completion:*:default' menu select=2 export HISTFILE=${HOME}/.zsh_history export HISTSIZE=1000 export SAVEHIST=1000000 setopt hist_ignore_dups setopt EXTENDED_HISTORY setopt hist_ignore_all_dups autoload history-search-end zle -N history-beginning-search-backward-end history-search-end zle -N history-beginning-search-forward-end history-search-end bindkey "^P" history-beginning-search-backward-end bindkey "^N" history-beginning-search-forward-end
これでiTermを起動しなおせば上の画像のような画面になっているはずです。1つの画面の中に複数のシェルを表示するにはCommand+DやCommand+Shift+Dで画面を分割すれば良いです。iTermは他にもいろんな設定をすることができます。特にProfilesでは画面の見た目に関して色んな設定を行うことができるのでぜひ中二心をくすぐられるようなカコいいターミナルを作ってみてください。
参考
ついでなのでcdコマンドをありえん便利に拡張してくれるenhancdについても簡単にご紹介しておきます。enhancdはあいまい検索を許してくれます。たとえば Software
というディレクトリが存在するとき、間違えて cd Sofware
とタイプしてもしっかり Software
に移動してくれるのです。また、enhancdは移動したディレクトリの履歴から移動先の候補を検索してくれます。いまホームディレクトリがカレントディレクトリであるとき、~/Documents/Task/Software
に移動したいとします。もしホームディレクトリに Software
なるディレクトリが存在しなければ、cd Software
で一足飛ばしに Software
に移動してくれるのです。死ぬほど便利です。詳細はリンク先で紹介されています。入れるのが難しいかもしれませんが、ぜひ試してみてください。
Slack
EEIC2017必須アイテムです。説明不要だと思いますが、重要度の指標として入れておきました。逆に言うとiTermはSlackより重要です。
Atom
エディタです。Emacs, CotEditor, Sublime Text, VScode等々を使ってきましたがAtomが一番無難です。
参考
CotEditor
こちらもエディタですがとにかく軽いのが利点です。とりあえずファイルの中身を確認したいときやゴミのような文章の下書きをするときに重宝しています。わたしは下の画像のように一切のボタンを取り去って利用しています。また、すべてのテキスト形式ファイルをCotEditorと紐付けて、Finderからダブルクリックで開くときは必ずCotEditorが起動するようにしています。
ちなみにFinderからファイルを開くときのアプリケーションを変更するには、「開きたいファイルを右クリック→情報を見る→このアプリケーションで開くでアプリケーションを選択→すべてを変更」とすればできます。
プレビュー
Macのデフォルトのイメージビューアーで、PDF等も見れます。基本的な画像編集も実はほとんどこれでできてしまいます。
参考
Spark
シャレオツメーラーです。デフォルトの「メール」でも問題ありませんが「メール」の調子が悪くなったときはこれに乗り換えるのが良いと思います(そのうち有料化しそうな気配がするので今のうちにダウンロードしておいた方が良いかもしれません)。
TeX
いろいろとインストールする方法はありますが、現状ではMacTeXが最強です。pkgファイルをダウンロードしてインストールするだけでTeXが使えるようになります。ソースコード自体はAtomで書いてlatexmkでコンパイルするのが楽だと思います。わたしは更にpandocと自分で書いた秘伝のソースからMarkdownをLaTeXに翻訳しています。
参考
- latexmkについて: latexmk で楽々 TeX タイプセットの薦め(& biblatex+biberで先進的な参考文献処理)
- markdown→TeX変換について: markdown->TeXの変換だけで卒論を仕上げるのに便利だったツール10個まとめ
Better Touch Tools
キーボードやトラックパッドでの操作をかなり拡張できるユーティリティ系アプリケーションです。いろいろとできますがとりあえずWindowsライクのウインドウリサイズ(ウインドウを画面の隅に寄せたとき良い感じにリサイズする)が便利ですのでこれだけのためにでも入れるべきです。
メモ
メモアプリもたくさんありますが現状では純正の「メモ」が一番便利ではないかと思います。テキスト入力だけでリッチな文書が作れてiOSデバイスでも利用可能という点が素晴らしいです。MarkdownエディタはKobitoやBoostnote等がありますが、やはりベッドに寝転がりながらiPadで編集するというニーズに答えられないのが残念です。最近リリースされたBearはMarkdown編集可能でiOSアプリも存在する良い線を行ったアプリですが、どうしても使用感が気になります。キーを打ったときカーソルより左側にものが出てくるのが慣れません。
- Dropbox PaperのデスクトップクライアントであるPaper for Macが結構便利かもしれません。
-
Dropboxのドキュメント作成&共有サービス「Paper」のMac用非公式クライアント「Paper for Mac」がリリース。 | AAPL Ch.
Karabiner
キーボードの挙動を変更できるかなり便利なユーティリティ系アプリケーションです。残念ながら、現在はSierraに対応していません。活発に開発されているのでそのうち対応すると思うのですが…。この項はKarabinerがSierraに対応したら書き直します。
その他
Emacs Keybind
Macでは基本的にあらゆるテキストフィールドでEmacs Keybindと呼ばれる便利なキーバインドを使用することができます。IDEやエディタはもちろんWebのフォームやコンソールでも、本当にあらゆるところで使用可能(IDEではアプリケーション独自のキーバインドとかち合っていることも多いですが)で、応用範囲が広いので Macを買ったら絶対に覚えましょう。 絶対に覚えるべきです。項として分類しにくかったのでこんなに下の方に書いてしまいましたが、本当に重要なんです。絶対に覚えてください。
テキスト編集をしていれば毎分必ず使うであろうキーバインドだけ列挙しておきます。
- Ctrl+f: カーソルを右に移動(forwardのf)
- Ctrl+b: カーソルを左に移動(backのb)
- Ctrl+p: カーソルを上に移動(previousのp)
- Ctrl+n: カーソルを下に移動(nextのn)
- Ctrl+a: カーソルを行頭に移動
- Ctrl+e: カーソルを行末に移動
- Ctrl+d: カーソルの右の文字を削除
- Ctrl+h: カーソルの左の文字を削除
- Ctrl+k: カーソルから行末までを削除
結局全部列挙してしまいました。本当に1分に1回以上使います。
スクリーンショット
- Command+Shift+3: 画面全体をスクリーンショット
- Command+Shift+4: 選択範囲をスクリーンショット
- Command+Shift+4の後にスペース: アプリケーションを選択してスクリーンショット
git
テキストファイルのバージョン管理を行えるコマンドラインアプリケーションです。もはや設定ではないですね。複数人でソフトウェアを開発をするならば絶対に必要ですし、慣れていれば論文などの文書の作成にも使用することができます。できれば使えるようになっておくと良いでしょう。
参考
コマンド
ターミナルで使えるコマンドのうちMac特有のものを紹介します。
open [filenames]
: Finderからファイルをダブルクリックで開くのと同じ挙動をします。pbcopy
: 標準入力をコピー領域に保存します。./a.out | pbcopy
などとするとa.out
の出力をコピーできます。cat file.txt | pbcopy
などとするとファイルを開かずに内容をコピーできます。rmtrash
:rm
コマンドの代わりで、削除したファイルをゴミ箱に移動させてくれます。rm
の普通の動作ではゴミ箱に行かずに即刻削除されてしまうのでやり直しができません。brew install rmtrash
等としてインストールしないと入らないと思います。
おわりに
言い訳を最後に書いても読んでもらえないのではないかという恐れがありますが、あまり本質的でもないのでやっぱり最後に書くのが妥当だと思います。以上で述べたような設定やアプリケーションは、わたしの貧相な想像力で想像しうるユースケースの中では最も無難で丸いものだと考え紹介したものです。当然、環境や趣味嗜好の違いによっては別の設定が適しているということもあると思います。それでも、ここに書いたことの多くが自分にとっても有用だと考えてくださった方がいらっしゃれば、その方とわたしのPCの使用感に関する嗜好は似通っていると言うことができるのではないでしょうか。もしあなたがそのような嗜好を持っており、またMacに関しては初心者であれば、まだ他にも教えてさしあげることができることがあるかもしれません。Macの使い方で困ったことがあればぜひわたしに質問してください。友情プライスで解決してさしあげましょう。